偏ったゲームの話
投稿者: 井戸乃博士 投稿日:2013/12/11 00:57
ども。井戸の博士でございます。 Rmakeはゲームを作るサイトということで、 わしの好むゲームについて少し語ってみよう、と思い立ったわけです。 ・・・といってもわしのゲーム遍歴は古いからな・・・ はたしてどれだけの人がついていけるのやら・・・ |
何をぶつぶつ言っているんですか? 博士がレビューやイラスト以外で自分からブログを書くなんて珍しいですね。 特にゲームのことついては、年齢がばれるから、と言って あまりお話したがらないようにお見受けしておりますが・・・ 何かきっかけでもあったのですか? |
いやあ、実はyukiyashiroさんと他のブログで話していたら、 興味深い話題が出てきてね。 (敵同士の)男子が男子を好きになることがある、という話なんだけど ・・・ちょっと一部を引用させていただきましょうかね。 |
以下の条件を持つ男子が男子のことを好きになるということがある
・意志(エネルギー)が人並み外れて強い(優しさと強さ両方を持つ)
・人間不信者である
この状態の男子は「行動派の主人公」と「最強のライバル」という2つの存在に分離して作品を手掛けると思います。
・仲間に愛されていることは信じられないが、敵意なら信じられる
・エネルギーが強過ぎて溢れており、また他者との違いも感じていて、自分のエネルギーをぶつけ、受け止めてくれる相手、自分自身が自分の価値を実感できる相手、認めてくれる相手が欲しいと思う
ということがあるのだと思います。
まとめてみると、非常に戦闘能力の高い主人公(♂)がいたとする。 一方、それに匹敵する強力なライバル(♂)がいると、 敵意が深い愛情に変わることがある、と言っているんだね。 このようなライバルは、相手の強さを理解しながら、 自分の力も認めてほしいがために何度も勝負を挑むのだが、 実は主人公を一番理解して尊敬している存在でもあるのだな。 敵意を通り越して、戦いを通した愛情がそこに生まれる、と言うわけだ。 ・・・わしはこれを読んで、思い当たる節があってな。 わしの敬愛しているとあるゲームに、まさにこれに当てはまる 登場人物が出て来るんだよ。 |
一般的な恋愛感情ではなく、敵対関係を通じた愛情・・・ということですか。 ある意味、非常に特殊とも言える関係ですね。 それで博士が敬愛されているゲームとは何ですか? |
うむ、「天外魔境Ⅱ」というゲームだ。 メーカーはハドソンで、ジャンルはRPG。 元はPCエンジンというハードで出ていたんだ。 |
・・・・・・PCエンジン・・・・・・ すみません、そのゲーム機は私、ちょっと存じ上げていないのですが・・・ |
知らんだろうなあ・・・ なにしろ、このゲームが発売されたのは1992年だからな・・・ まあ、DSやPSPに移植されているから、現在でも十分入手は可能だ。 去年の今頃にも売ってるのを見かけたような気がする。 |
そうなんですか。今でも買って遊ぶのは難しくない、ということですね。 博士が敬愛されているということですが、どのような点が魅力なのですか? |
そうだね。 今のゲームと比べると、さすがに古く感じる面もあるかもしれんが、 作り手のセンスが素晴らしい。 ストーリー自体はよくある勧善懲悪で、人間を滅ぼそうとする種族がいるので、 人間を守るために戦うといったような話だ。 しかし、登場する敵のキャラクターが一筋縄では行かない。 主人公のキャラも個性的で魅力があるんだが、 敵の方も同じくらい個性的で印象的な者が多いんだ。 極悪で残忍な奴ばかりだが、その仕打ちにリアリティがあったり、 妙に人間的なところがあったりしてな・・・ |
単純な悪者ではないキャラクターということですね。 なんとなく、分かるような気がします。 |
で、ここからが本題ね。 主人公(♂)に愛情を持ってしまう敵(♂)というのがいてな・・・ ネタバレになるから詳しい話は避けるけど、 最初に主人公と戦って敗走するんだけど、 後に再び登場して、しつこく勝負を挑んでくるんだ。 敗走したせいで、敵からも脱走者として追われる身になっていて、 主人公と戦うことにしか意味を見出せなくなっているんだが、 戦いを重ねるうちに、主人公の力に対する尊敬の念が強くなって、 愛情を抱くようになっていくんだな。 主人公の名前を「卍(まんじ)丸」というんだけど、 この敵は出会うたびに「愛してるよ!卍丸!」と言うんだ。 このセリフは、このゲームの名言とも言われている。 この敵の他のセリフもかなりすさまじい。ちょっとだけ引用してみよう。 「おまえたちのおかげで味方に追われる毎日だ・・・もうおれには 卍丸おまえたちしかないんだよ。愛してるよ。」 「おまえたちがどんどん強くなってうれしいよ。オレ以外の誰にも おまえたちを傷つけて欲しくないんだよ。」 「俺をもっといじめてくれ!グチャグチャにしてくれ! 人間を捨てられるようにな!!」 |
すごいですね・・・ これ、レーティングにひっかからなかったんですよね? |
CEROは「A]になってるから大丈夫なんじゃないか? ・・・一応言っとくけど、一般的な意味での恋愛要素は皆無だ。 美形というわけでは決してない。 こいつは妻のいる、冴えない中年の小男だからな。 かと言って、BLをネタにしたようなギャグではない。 なにしろ、このゲームの脚本書いた人は、 ゲーム製作にあたって犯罪者や精神異常者に関する本を読み漁ったというからな。 非常に深い心理洞察に基づいて作られたキャラと言えるだろう。 そのためか、このキャラはゲームの中でも最も印象深いキャラの一人と言われている。 最初は「ちょw愛してるってwww」と若干引いてるプレーヤーも、 勝負を続けていく間に何か理解のようなものを感じてしまうんだな。 最後に決着をつけたときには、もの悲しささえ感じさせる。 |
なるほど・・・ でも、お聞きしていると、 確かにyukiyashiroさんのお話がぴったりと当てはまりますね。 仲間にも追われているから、敵意しか信じられるものがない。 それが「おまえたちしかない」というセリフにつながっていますね。 主人公たちに認められたいという意志も、他のセリフからひしひしと伝わってきます。 このような葛藤が愛情になりうるということですか・・・ |
今回、yukiyashiroさんの話を聞いて、とても腑に落ちたんだよ。 yukiyashiroさんの表現するキャラはさらに恋愛もからむから、 もっと複雑になるわけだけど。 「バトル・フリマ」に登場するレイカとクロの関係は、 今わしが言った関係からさらに進んで、敵対関係を超えて相互の信頼に至った状態と 言えるんだろうな。 何というか、一般的な意味での恋愛関係も超える非常に幸福な関係ではないかと思うね。 |
興味深いお話でした。 それにしても「天外魔境Ⅱ」も奥の深そうなゲームですね。 現在も遊ぶことができると先ほどおっしゃっていましたが・・・ |
今プレイするのならDSかPSPがおすすめだね。 PS2でも移植されたけど、アレンジの方法で賛否両論ある。 一番オリジナルに忠実なのはPSP版だが、 DS版でも十分に面白さは伝わると思うよ。 2画面の特徴を生かしてシステム面が向上しているしね。 興味があったら、ぜひプレイしてみてくだされ。 |
長文失礼いたしました。 ここまで読んでいただいた方は、 お付き合いくださってありがとうございました。 |
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コメント一覧
このゲームを手掛けたのは広井王子で、あのサクラ大戦と同じ作者ですからそういうエンターテイメントの作り方がその当時(1992年)からも上手かったんでしょうね。
自分もⅡは遊びました。とても面白いんですけど、自分のRPGの苦手意識が少し出てしまが最後のところまで進みましたが、クリアできずに諦めちゃいました
自分もⅡは遊びました。とても面白いんですけど、自分のRPGの苦手意識が少し出てしまが最後のところまで進みましたが、クリアできずに諦めちゃいました
一方でバトルものやサスペンスなど健常者側がでっち上げた、犯罪者のリアルを描いていない作品も多いです。
なぜ罪を犯すのか、どんな精神状態なのかを示す意味のある作品が増えるといいと思います。
>俺をもっといじめてくれ!グチャグチャにしてくれ!
このセリフいいですね、そそる 笑
この作品の決着はけっこう悲しそうですね…?
男女の恋愛が自然な感情である分、男が男に抱く愛というのはより濃く強いように感じます。
私としてはそれがBLの醍醐味の一つです。
私の好きな作品でも最終回に決着を着け、三者三様の結末を描き出します。
レイカとクロも命を懸けて戦いました。
そしたら作者も予想外の展開になりまして 笑
その後重大な出来事を経て今の状態に至ります。
でもこれで終わりにする気は無いのかもしれませんね…
>yukiyashiroさんの表現するキャラはさらに恋愛もからむから、
>もっと複雑になるわけだけど。
そうですね~ 笑
主人公とライバルは分離した存在なので一つになることを渇望するのですが、男女だと自然に恋愛で一つになれるのかと思いますけど男同士だと恋愛では一つにはなれず、戦うことでしか一つになれないみたいです。
(男は男に欲情できないから…)
だから横を向いて寄り添って愛を注ぐ生き方では相手は自分を見てくれず、
前を向いて自分の生き様を一心不乱に生きている時に「カッコイイ!」と思われて愛される…
切ないです 笑
この敵は前の戦いで主人公に妻を殺されたので、妻の仇を討つために主人公を追い回しているんです。つまり夫婦愛とは別に主人公に対して敵としての愛があるわけですね。 そこで主人公に立ち向かうために自分の体を改造して、どんどん機械化していって、 最後には頭以外は完全な機械になって人間の体を捨ててしまいます。 そこで主人公に敗れて、主人公の強さに感心しながら息絶えていきます(話自体はそのあともまだまだ続きます)
>悪と戦う側も意味を見出せないと思うのです。
なるほど~
>(ネタバレ→)主人公に妻を殺されたが、主人公に愛していると言うのはスゴイですね!!
興味深いです…どのような精神状態なのか…もう本当に何も無くなってしまって存在理由が主人公達しか居ないということかな…泣けて来る(ノロ`)
>絵に感じる曇りのない透明感
お言葉ありがとうございます!
私も分かりません…私自身特別意識したことがありませんでした。
ラヴィアンさん達がプッシュしてくださるので、私自身これからぜひ注目したいと思います。
>でも最終的に戦いに決着がつくことで愛情が終わる(あるいは成就する?)のは、
>切ないですね・・・
私の好きな作品では双方の愛の成就と言うより、主人公の(その時点での)意志の成就という形で終わります。
・かつてはボロ負けしたけど相手と対等に戦い自分の生き様を貫けた
・予想外の結末を成し遂げ、自分自身の意志を貫いた(そして相手の心を永遠に奪い取った)
・相手を殺した(そしてさらに相手と違う道を行くことで、相手の心を永遠に奪い取ろうとした)
いずれも私から見た結末の見え方ですが…
生き様を貫く強さ、そして大好きな相手の心を奪いたいと思う渇望(愛に飢えている)、ということがあるのではないかと思います。
絶対唯一の相手と戦うことは互いにとって「快楽」だと思います。
おっしゃる通り、物語に結末がありますがそれは人間不信者が渇望したゆえの切ない終わり方であり、時間が経つことで相手に感謝ができるようになるなど、性格が変わることで違う何かを得ることはあると思います。
でもその時点ではそれが互いにとって本当に最高の結末なのだと思います。
ライバルもそんな主人公を愛したのだと思う…
切ない!!
長文すみません…